毎日新聞 2012年1月15日 8時38分
17年近く逃亡した元オウム真理教幹部、平田信容疑者(46)とかくまい続けた元信者、斎藤明美容疑者(49)。2人と接見した滝本太郎弁護士の話や警視庁の捜査から、暮らしぶりや出頭の経緯が少しずつ分かってきた。一方で、教団の関与の有無などは明らかでなく、警視庁は全容解明を急いでいる。
◇都会に潜伏
「人が多い都会に隠れよう」。96年2月ごろ、平田容疑者の提案で2人は大阪を目指した。身辺に捜査が近付いたことを察知したとみられる。
当初は、「北へ向かえ」という教団の占いに従い、東北に逃げた。95年11月ごろからは仙台市の日本料理店の寮に住んでいたが、捜査員が踏み込んだ時に姿はなかった。
2人は大阪市に1年数カ月住んだ後、残りの約14年は東大阪市内で同居。自宅マンションは、斎藤容疑者の勤務先の整骨院の借り上げ寮だった。
◇質素な生活
斎藤容疑者は整骨院で「吉川祥子(よしかわ・しょうこ)」という偽名を名乗り、周囲には「男はこりごり。1人で暮らしている」などと話した。アルバイトから社員となった00年には、吉川名義の健康保険証や厚生年金手帳を取得。銀行口座開設や携帯電話の契約に使われたという。
生活は質素だった。月給は約20万円。出費を切り詰め、整骨院が支給する昼食代で2人分の弁当を買った。平田容疑者はほとんど外出せず、テレビやパソコンで時間をつぶし、時には自分で料理や掃除もしていた。教団から受け取った逃走資金1000万円は目減りしたものの、斎藤容疑者は出頭時に約800万円を持っていた。
◇最後の電話
平田容疑者は昨年11月、出頭の意向を斎藤容疑者に打ち明けた。「見納めに」とレンタルビデオ店で借りたDVDは、米国のテレビドラマ「24」など28本に上った。出頭前には髪を茶色に染め、斎藤容疑者が眉を細く整えた。途中で見つかりたくなかったという。
平田容疑者の出頭後、斎藤容疑者は身辺整理を始めた。今月4日には「親元に帰る」と整骨院に退職の意向を伝え、部屋を掃除。冷蔵庫を空にし、歯ブラシで水回りを磨いた。10日未明に自首する直前には、福島県の実家に電話し「長い間申し訳ありません。これから出頭します」と留守番電話に吹き込んだ。
逃亡生活には謎も残る。800万円の原資のほか、教団の関与や支援者の有無は解明されていない。滝本弁護士は「2人はもう帰依していない」と教団との関係を否定するが、捜査幹部は「2人が全てを話しているとは思えない」と話している。
毎日新聞 2012年1月15日 8時38分(最終更新 1月15日 13時27分)
美人元信者の健康保険証で波紋!“偽名”でも作れた
2012.01.16
オウム真理教元幹部、平田信容疑者(46)をかくまっていたとして逮捕された元信者、斎藤明美容疑者(49)の所持していた健康保険証が波紋を広げている。「吉川祥子」として申請したにもかかわらず、正式に発行されていたからだ。身分証明となる保険証が偽名をもとに作られていただけに問題は根深い。
捜査関係者は驚きを隠さない。
「精巧に偽造した保険証かと思ったら、正規ルートで発行されたものだった。二度びっくりだ」
警視庁などによると、斎藤容疑者は整骨院で名乗っていた「吉川祥子」名義の健康保険証を所持。何と2000年に全国健康保険協会が発行したホンモノなのだ。
斎藤容疑者の保険証は、勤務していた整骨院(大阪府東大阪市)を運営する法人が、最寄りの年金事務所に申請。全国健康保険協会大阪支部に書類が回り、同協会から発行されていた。
全国に年金事務所を展開する日本年金機構が説明する。
「申請は『資格取得届』の提出によって行われる。この際、住民票や戸籍謄本の添付は必要ない。事業主が本人確認を済ませて申請することが制度の前提。虚偽申請には罰則(6月以下の懲役か50万円以下の罰金)が設けられている」(広報室)
保険証はたいしたチェックも経ずに発行され、斎藤容疑者は携帯電話の購入やレンタルビデオ店の会員登録、通院に使っていたのだ。
勤務先の整骨院は斎藤容疑者の保険証申請の際、住民票や運転免許証などで身元の確認をしなかったという。「大きな企業の健康保険組合なら転職の場合、前の組合から離脱した『資格喪失証明』の提出を必ず求める。しかし、事業主が中小企業だとこの手順が省略されてしまうことが多い」(社会保険労務士)と、申請段階で問題があったようだ。
また、斎藤容疑者が加入していた健康保険は「協会けんぽ」と呼ばれるもの。中小企業の従業員と家族が主な加入者。2008年まで社会保険庁が「政府管掌健康保険(政管健保)」として運営していた。
ある企業の健保組合関係者が憤る。
「国は民間の組合には厳しいくせに、おひざ元の政管健保にはこれほど甘いとは。同じような不正発行は多数あっただろう。だから政管健保は慢性的な財政難に陥ったのではないか」
保険証について、滝本太郎弁護士に「驚いたことにもらえちゃったんです」と話した斎藤容疑者。「もらえちゃった」ケースはこれまでどれほどあったのだろうか。
オウム平田信容疑者をかくまった斎藤明美容疑者が勤めていた整体院の気になる好待遇
2012年01月16日 11時45分 [社会]
昨年12月31日に出頭し逮捕されたオウム真理教元幹部、平田信容疑者(46)をかくまった斎藤明美容疑者(49)。彼女は1月10日に自首し、犯人蔵匿の罪で逮捕された。
ところで、斎藤容疑者の大阪府東大阪市での潜伏生活が明るみに出るにつれ、どうしても気になるのが勤務していた整体院のこと。
両容疑者が潜伏していた同市内のマンションは、勤務先が借り上げていたもので、家賃は約8万円。間取りはクローゼット付き8畳洋室と4.5畳のダイニングキッチン、バスルームとトイレが備わる1DK。大阪市外の1DKで、この家賃はかなりの高級マンションだ。捜査関係者によると、3万円程度は勤務先が負担しており、家賃の実質負担は5万円程度だったようだ。さすがに2人で暮らすには手狭な感は否めないが、5万円で高級マンションに住めるのだから、ありがたいことだ。むしろ、社宅であれば、もっとリーズナブルな物件でいいのにと思ってしまう。
そして、盛んに報道されている昼食代。こちらは勤務先が1000円までなら負担をしてくれ、斎藤容疑者は安い弁当を二つ購入し、1000円以内に収めて、平田容疑者と食べていた。この不景気な時代に、こんな面倒見のいい職場などあるだろうか。大手企業などは社員食堂を設置し、昼食代を安く抑えてくれるが、さすがにランチ代を払ってくれるところなど、そうそうないだろう。
1日約1000円負担してくれるということは、月でいうと約2万円の昼食代が浮く。これに、家賃負担の3万円を足すと、生活費を約5万円も補助してくれていたことになる。給料は20万円弱だったというが、5万円が勤務先負担であったことを考慮すれば、なかなかの好待遇だ。こんないい勤務先に巡り合えた斎藤容疑者はラッキーというべきか。不景気の今、そんな勤め先があれば、働きたいと思う人も多いのでは…。
(蔵元英二)
http://npn.co.jp/article/detail/19417158/
愛の証「290円のり弁」 逃避行17年「めがねちゃん」と呼ばれたオウム斎藤明美の「献身」
2012.1.14 07:00
評判の「吉川先生」
平成7年5月、斎藤容疑者は平田容疑者に誘われて、一緒に逃亡を始めた。東北地方を点々としていたが、約15年前「人が多い大阪へ行こう。人混みの方が紛れやすい」と平田容疑者が提案し、2人は大阪へ向かった。
はじめの1年間は大阪市内で暮らしていた2人。9年ごろ、そこから大阪府東大阪市内の別のアパートに移った。
2人の生活を支え続けたのは斎藤容疑者だった。喫茶店に勤めた後は、東大阪市の整骨院が出した「社宅付き従業員」の募集に「吉川祥子」と偽名の履歴書で応募。約10年前から働くようになった。16年ごろには、整骨院が社宅として借り上げた現在のマンションに転居し、生活の基盤を整えていく。
斎藤容疑者は、整骨院の申請で「吉川祥子」名義の保険証を手にする。整骨院が申請する際に住民票などは必要ではなかったため、斎藤容疑者自身も「もらっちゃった」と驚いていたという。
「社宅あり」選び就職か=給料手渡し、周囲気にする様子-オウム斎藤容疑者・警視庁
目黒公証役場事務長の監禁致死事件で逮捕された元オウム真理教幹部平田信容疑者(46)をかくまったとして、元信者斎藤明美容疑者(49)が犯人蔵匿容疑で逮捕された事件で、潜伏先の大阪府東大阪市内のマンションは斎藤容疑者が勤める整骨院の社宅で、2004年に近くのマンションから転居していたことが11日、捜査関係者への取材で分かった。
斎藤容疑者らは1996年2月まで3カ月間潜伏していた仙台市でも、飲食店の従業員寮にいたとみられ、警視庁は入居時に本人確認が厳しくない社宅がある仕事を選んでいたとみて調べている。
捜査関係者によると、斎藤容疑者は約10年前から東大阪市の整骨院に勤めていたとみられ、04年に同市内の別のマンションから、整骨院の南約1キロにある社宅マンションに移った。周囲には独身だと説明していたという。
家賃は給料から引かれており、残った給料は手渡しでもらっていた。偽名で働いていたため、口座振り込みができなかった可能性もある。
近くの食品店店主によると、斎藤容疑者は働き始めた当初から周囲を気にしている様子で、「前のことは聞かないでほしい」と話していたという。(2012/01/11-19:07)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201201/2012011100862