麻薬に似た幻覚症状などがあり、若者を中心に乱用が広がっている脱法(違法)ドラッグの規制や摘発を強化するため、厚生労働省は27日までに、成分構造が類似していれば薬事法違反として一括で規制対象とする「包括指定」の導入を本格検討する方針を固めた。
現在はドラッグを一つ一つ詳しく調べ、個別に「指定薬物」として規制しているが、成分構造を一部だけ変えて「合法」とうたう新種が横行。包括指定すれば、こうした「いたちごっこ」が断ち切れると判断した。
現状では脱法ドラッグを取り締まる権限がない麻薬取締官が、独自に捜査、摘発できるよう薬事法の改正も検討する。
2012/01/27 09:56 【共同通信】
'12/1/27
厚労省、脱法ドラッグ規制強化へ
類似品を一括指定 麻薬に似た幻覚症状などがあり、若者を中心に乱用が広がっている脱法(違法)ドラッグの規制や摘発を強化するため、厚生労働省は27日までに、成分構造が類似していれば薬事法違反として一括で規制対象とする「包括指定」の導入を本格検討する方針を固めた。
現在はドラッグを一つ一つ詳しく調べ、個別に「指定薬物」として規制しているが、成分構造を一部だけ変えて「合法」とうたう新種が横行。包括指定すれば、こうした「いたちごっこ」が断ち切れると判断した。
現状では脱法ドラッグを取り締まる権限がない麻薬取締官が、独自に捜査、摘発できるよう薬事法の改正も検討する。
幻覚症状や興奮作用をもたらす脱法ドラッグは、主にインターネットやアダルトショップで、お香やハーブなどと称して販売されている。安易に入手でき、使った人が健康被害や異常行動を起こしたり、死亡したりするケースもある。
厚労省は2007年施行の改正薬事法で指定薬物制度を導入。指定を受けたドラッグを治療や研究目的以外で製造、販売、輸入した業者は、5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科される。
しかし、指定に必要な流通実態の調査に時間がかかるため、今年1月までに指定されたのは68種類。実態は厚労省も把握できていないが「相当な種類が出回っている」とみている。
厚労省は包括指定導入に向けて省令改正を検討。ただ、医療現場で「治療や研究目的の使用も規制される恐れがある」との懸念があるため、指定対象範囲の決め方などを慎重に検討する。
一方、厚労省職員の麻薬取締官は、麻薬や覚せい剤などの捜査権限はあるが、薬事法は所管外。厚労省は脱法ドラッグの情報収集から捜査、摘発まで一貫して担当できるようにする考えで、今国会に提出予定の薬事法改正案に盛り込むことを目指す。
脱法(違法)ドラッグ
取締法がある麻薬や向精神薬、覚せい剤には該当しないが、類似した幻覚や興奮などの作用がある薬物。乱用の恐れがあり、健康被害を引き起こす危険性が指摘されている。現行の薬事法で「指定薬物」になると製造、販売、輸入が禁止されるが、法規制が及ばず公然と販売されているものも多い。「合法ドラッグ」「脱法ドラッグ」との呼称に対し、国や自治体は、事実上は法を逸脱しているとして指定薬物以外も含め「違法ドラッグ」と呼んでいる。
(2012年1月27日掲載)