東京電力福島第1原発事故で、東電は2日夜、2号機の原子炉格納容器から採取した気体を同日昼に再測定した結果、放射性物質のキセノンがほぼ同程度の濃度で検出されたと発表した。一方、経済産業省原子力安全・保安院は、日本原子力研究開発機構の分析に基づき、キセノンが検出されたことはほぼ間違いないと発表した。
キセノンの生成原因について、保安院の森山善範原子力災害対策監は2日夜の会見で、「臨界が局所的に生じた可能性は否定できない」と述べた。一方で、原子炉内にある核物質の量などから、プルトニウムなどが自然に核分裂を起こす「自発的核分裂」でキセノンが発生した可能性も高いと説明した。(2011/11/02-22:51)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011110200765
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2011/11/02
原子力安全・保安院=「局所的な臨界が起きた可能性」と、「自然に核分裂した可能性も」
キセノン検出と断定=「自発的核分裂」可能性も-福島第1
炉内の溶融燃料の状況が分からない中、1、3号機では臨界を直接検出する設備がなく、専門家は「安全という根拠もない」と懸念する
1、3号機は直接検出手段なし=過去にも小規模臨界の可能性-福島原発事故
東京電力福島第1原発事故で、2号機の溶融燃料の一部が、原子炉の冷却作業が進んだ最近になって一時的な臨界状態だった可能性が浮かんだ。炉内の温度、圧力に変動がないことから、東電と経済産業省原子力安全・保安院は年内に予定する冷温停止状態の実現に影響はないとしている。しかし、炉内の溶融燃料の状況が分からない中、1、3号機では臨界を直接検出する設備がなく、専門家は「安全という根拠もない」と懸念する。
東電は先月17日に提出した中期的安全対策の中で、再臨界について「極めて低いが、可能性は完全に払拭(ふっしょく)できない」としていた。しかし、今月1日に直近に臨界が起きた可能性を示すキセノン133と135が検出され、東電は詳細な調査が必要としつつ、過去に起きていた可能性は否定できないとの見解を示した。
一方、事故収束作業の中で、政府や東電が一定の区切りと位置付ける冷温停止状態は、原子炉圧力容器底部の温度や放射性物質の放出低減が判断条件となっており、再臨界の抑制や監視は条件に入っていない。保安院の森山善範原子力災害対策監は「冷却と臨界の問題は別」としながら、「臨界も局所的なら問題ないが、それが続くと大きなエネルギーを生むことになるので、監視は続ける」と説明。今後、専門家による聴取会の意見も参考にする意向を示した。(2011/11/02-21:49)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011110200887
福島第一原発2号機で核分裂の可能性 キセノン133,135を検出
2号機原子炉にホウ酸水注入=核分裂の可能性で-福島第1
東京電力福島第1原発事故で、同社は2日未明、2号機の原子炉格納容器から1日に採取したガスを分析したところ、半減期が短いキセノン133、同135が検出された可能性があると発表した。溶融燃料の核分裂反応を否定できないとして、2日午前2時50分ごろから原子炉への冷却水注入ラインを使い、ホウ酸水の注入を開始した。
2号機の原子炉の温度や圧力、周囲のモニタリングポストの放射線量に異常な変動はないため、念のための措置としている。(2011/11/02-05:04)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011110200048