【株式・大引け】円高や債権放棄促す枝野発言を嫌気し、日経平均は2日続落
2011年5月13日16時4分
13日の東京株式市場は、円高進展に加え東京電力の融資元に債権放棄を促す政府高官発言で地合いが悪化し、ほぼ終日軟調展開。日経平均株価は前日比67円88銭安の9648円77銭、TOPIXも同9.40ポイント安の839.94と、ともに2日続落した。東証1部の出来高は概算で28億3074万株、売買代金は1兆7980億円だった。
前日の米国株式市場が原油相場の持ち直しなどを背景に反発した流れを受け、この日の日経平均は小高く始まった。その後、為替市場で円高が進んだことをきっかけにマイナス圏に転落。後場に入ると、枝野官房長官が記者会見で東京電力に融資する金融機関に債権放棄を促したと伝わったことで下げ幅が拡大し、一時、4月26日以来となる9500円台まで下落した。その後は押し目買いが入り下げ渋った。 東証1部の値下がり銘柄数は1354と全体の8割を占めた。値上がり銘柄数は232、変わらずは72だった。
業種別では東証33業種中29業種が下落した。下落率ワーストは鉱業の4.0%。以下、電気・ガス、銀行の順。上昇したのは精密、輸送用機器、食料品、小売りの4業種。 個別銘柄では、枝野発言で三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク株が後場に入り売り込まれたほか、東京電力や中部電力などの電力株が軒並み安。中国の預金準備率引き上げを嫌気しコマツ、ファナックなどの中国関連株も軟調だったほか、今期大幅減益予想を発表した岩崎電気が急落し値下がり率トップ。一方、トヨタ、日産、ホンダの大手自動車株が堅調だったほか、前日に今期増益見通しを発表したニコン、電通などが物色人気を集めて上昇した。
来週は金融機関等の決算発表が予定されているほか、3月の国内機械受注(16日)、4月の米住宅着工件数(17日)、1~3月国内GDP(19日)など内外の重要指標も注目される。心理的なフシ目の日経平均9500円を割り込むと下値を試す可能性もあるが、日銀のETF買いが下支え要因となるため、市場では「9400~9800円レンジ内でのモミ合い」(大手証券)と予想している。
電力9社も負担金義務…政府、原発賠償策を決定
政府は13日、東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償策を巡る閣僚会合を開き、東電を公的管理下に置く賠償策の枠組みを正式決定した。
政府が新設する「原発賠償機構(仮称)」の援助を受け、東電が被害者に賠償金を支払い、毎年の本業の利益から機構に返済する。東電が負担する賠償に上限を設けない一方、賠償支払いが終わるまで東電を債務超過にしないとの方針を明記した。
枠組みでは、「原子力事業者である電力会社」が「機構への参加を義務づけられる」とし、東電以外でも、原発を持たない沖縄電力を除く8電力会社と日本原子力発電の計9社が機構に負担金を拠出することを義務づけた。また、東電支援の基本的な考え方については、「財政負担の極小化を図る」という当初の表現を「国民負担の極小化」に変更し、電気料金値上げに対する世論の反発を考慮した。
(2011年5月13日14時08分 読売新聞)
東電賠償スキーム、事実上株主・社債権者などを免責
2011年 05月 13日 12:33 JST
[東京 13日 ロイター] 政府が13日発表した福島第1原子力発電所事故による東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の損害賠償支援スキームは、株主や社債権者などの各ステークホルダーを事実上、免責するものとなった。巨額の損害賠償が発生し、債務超過に陥れば優先・劣後関係の中で損失を負担していくのが金融市場の原則だが、”too big to fail”(大きすぎて潰せない)との主張の前に、最初にき損されるべき株主も守られるスキームだ。「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。
<破綻しないことが確約された企業の誕生>
別の外資系証券幹部は今回の政府のスキームについて「海外の投資家には理解できないスキームになっている」と指摘する。巨額の賠償債務を抱えることになった東電は、通常ならまず株式が最初にき損することになる。東電の株主資本は約2.5兆円ある一方で、賠償額の総額は現時点で判明していないものの、政府は5兆円のシミュレーションを作成している。少なくとも2.5兆円を超える賠償債務を追った時点で株式は100%減資となり、次に貸出金や社債がき損していく順番をたどるのが、市場原理に基づいた通常の破綻処理のケースだ。
日本は原発事故補償条約批准を 米エネルギー副長官
パネマン米エネルギー副長官は12日、将来起きる可能性がある原子力事故の賠償金を、世界各国が拠出した基金で補う「原子力損害補完的補償条約」を「日本が批准することが極めて重要だ」と述べ、日本政府に早期条約締結を促した。共同通信との電話インタビューで語った。
東京電力福島第1原発事故については「作業は明らかに長期間に及ぶ。(収束の)確たる見通しはない。道のりは長い」と厳しい見方を示した。
副長官の発言は、未曽有の巨額賠償金の支払いが予想される福島の事故を受け、将来の重大事故に備えた国際的な協力体制構築が急務であるとのオバマ政権の見解を代弁している。
原子力損害補完的補償条約は1997年に国際原子力機関(IAEA)で採択され、米国は2008年に批准したが、締約国が少ないため発効していない。副長官は「世界中のあらゆる企業が損害賠償で適切な保護を受けられる。世界全体が利益を得られ、原子力の安全にもプラスになる」と条約の意義を強調した。
政府が非公開にした福島第一原発3号機の惨状写真極秘入手
2011.05.13 07:00
1号機原子炉ほとんど水なし デスクに聞く
2011年5月12日 18:50
福島第一原子力発電所1号機で、原子炉圧力容器の水がほとんどたまっていないことが新たにわかった。外側の格納容器からも水が漏れている可能性があるということで、「東京電力」は、冷温安定化に向けた作業の見直しが迫られるとしている。原発事故取材班・小野高弘デスクに聞いた。(動画配信のみ)