公安調査庁は28日、団体規制法に基づくオウム真理教に対する観察処分の更新を公安審査委員会に請求した。更新請求は4回目。教団は07年に主流派の「アレフ」(当時アーレフ)と、上祐史浩元幹部(48)が設立した「ひかりの輪」に分裂したが、公安庁は両団体とも観察処分の対象としている。更新が認められれば、引き続き3年間、公安庁が施設への立ち入り検査をできるほか、教団は3カ月ごとに構成員や資産の報告が義務付けられる。
公安庁は、アレフについて、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(56)への帰依を強め、教祖の「誕生祭」を実施していると指摘。ひかりの輪も表面的には「脱麻原」を掲げながら「帰依を隠している」と強調している。
両団体の幹部は「東日本大震災の津波犠牲者に漁師が多かったのは、海の生き物を殺生したカルマ(業)だ」という趣旨の説法をしているといい、公安庁は、教義の特異性・危険性は変わっていないと指摘している。
元教団幹部らの刑事裁判が事実上終結したことは更新請求の理由ではないが、会見した尾崎道明・公安庁長官は「教団の動きは一概に予想できず、動向を見極めたい」と話した。また、尾崎長官は、教団の資金の出入りが把握できる帳簿類の提出も課せられるよう公安審に求めたことを明らかにした。
公安庁によると、両団体の信者は国内に約1500人、ロシアに約140人。拠点は15都道府県に32施設、ロシアにも数カ所の拠点があるという。
公安審は今後、両団体から意見を聞き、現在の観察処分の期限が切れる来年1月末までに結論を出す。【伊藤一郎】
毎日新聞 2011年11月28日 11時18分(最終更新 11月28日 13時53分)
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2011/11/28
公安庁によると、両団体の信者は国内に約1500人、ロシアに約140人。拠点は15都道府県に32施設、ロシアにも数カ所の拠点があるという
オウム真理教:公安庁が観察更新請求 団体の帰依指摘