【ドービル時事】26日の主要国首脳会議(サミット)の冒頭で菅直人首相が発言した内容の要旨は次の通り。
東日本大震災後の世界の支援と連帯に心から感謝する。福島第1原発事故の収束に向け、各国からの支援に感謝する。来年1月までに冷温停止、放射性物質の放出を止めることなど、収束へ全力を挙げる。
わが国のビジネスと観光は通常通りだ。原発周辺地域を除けば東京を含め放射性物質のレベルは減少している。経済活動は急速に復興している。現在の状況を日本の新生の重要な機会と捉え、震災復興に全力で取り組む。
原発の事故で国際社会に心配を掛けたことを重く受け止め遺憾の意を表する。最大限の透明性をもって全ての情報を国際社会に提供する。事故調査・検証委員会を設置した。外国人専門家の意見も頂く。その結論は全て公開し、今後の原子力安全の確保に向け積極的に貢献する。
食品について規制値を上回るものは出荷制限の措置を講じ、工業製品の安全性を確保している。各国においては、わが国との取引は科学的根拠に基づいて対応されるようお願いする。
震災と原発事故を受けてわが国はエネルギー基本計画を見直す。これまでの原子力、化石エネルギーという2本の柱に、自然エネルギーと省エネルギーを加え、4本の柱を打ち立てるべく「四つの挑戦」を行う。
第1の挑戦は原子力のさらなる安全性の向上だ。事故の経験を教訓として国際社会と共有していくことはわが国の責務だ。地震津波対策を含め最高水準の原子力安全を目指し取り組む。事故の検証作業から得た知見に基づき、国際原子力機関(IAEA)を中心とする原子力安全基準の策定に貢献する。来年後半、原子力安全に関する国際会議を日本でIAEAと協力して開催したい。
第2の挑戦は化石燃料の環境への負荷を大胆に削減することだ。徹底した効率的利用を進め、二酸化炭素の排出削減を極限まで図る。分散型電源の普及を加速化し、従来の大規模火力発電では廃棄していた大量の未利用熱を有効利用する。石炭ガス化複合発電などで熱効率を5割増加させる。
第3の挑戦は再生可能なエネルギーの飛躍的拡大だ。電力量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年代のできるだけ早い時期に少なくとも20%を超える水準となるよう大胆な技術革新に取り組む。太陽電池の発電コストを20年には現在の3分の1、30年には6分の1まで引き下げ、日本中の設置可能な約1000万戸の屋根に太陽光パネルの設置を目指す。技術力を結集し、大型洋上風力、藻類などからの次世代バイオマス燃料、地熱の本格的導入を目指す。
第4の挑戦は省エネルギーの可能性の限りなき追求だ。経済、社会を省エネの形に変革し、新しいワークスタイルやライフスタイルの創造を後押しする。四つの挑戦を通じて21世紀の新たな社会の在り方を創造していく。(2011/05/26-23:45)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201105/2011052601063
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2011/05/26
G8 サミット冒頭の首相発言=要旨
首相発言の要旨=サミット