福島第1原子力発電所の事故で、原子炉の冷却作業が最も順調だったはずの1号機で、想定外の事態が判明した。
東京電力は燃料の大半が溶け、いわゆるメルトダウンが起きたことを認め、さらに圧力容器の底に穴が開き、水が漏れ出ているとみられることを明らかにした。
6~9カ月で冷温停止を目指す工程表の見直しは、避けられない情勢となっている。
12日午後7時ごろの会見で、東京電力は「凝縮層の水が適切に測れなかったことを考えると、全部の炉心が、いつかの段階で露出したのではないかと思っております」と話した。
収束へ向けた作業が連日続く福島第1原発で、より安定しているとみられていた1号機で、燃料棒の露出が明らかになった。
東京電力は、これまで1号機の原子炉圧力容器の水位を、燃料棒の上部から1.6~1.7メートル程度下にあると発表していた。
しかし、水位を詳細に調べたところ、実際の水位が燃料棒の下部より5メートル以上も下にあることが、12日になって判明した。
溶け出した燃料は、原子炉の底にたまっているとみられる。
また東京電力は、1号機の圧力容器から、大量の水が流出していることも明らかにした。
12日午後7時ごろの会見で、東京電力は「圧力容器の溶接部といったところが熱い熱でやられて、ここに少し穴が開いたんではないかというふうに考えております。
原子炉の方には、直径が65mmの消防用のホースを使いまして、原子炉の方に注水しておりますので、その程度の開口部の面積があると、そのまま(水が)出ていくという形ではないかというふうに考えております」、
「(今の1号機の状況はメルトダウンではない?)メルトダウンが、なんて言いますか、原子炉の炉心の形状を維持しないまま、していなくて、圧力容器の下に崩れ落ちているという定義でございますと、それで結構でございます。溶けた、どろどろになった燃料が、圧力容器を突き抜けて格納容器にいき、さらに原子炉建屋を突っ込んでいくというような、(映画の)チャイナシンドロームのようなイメージだとすると、それは今の段階では、違うというふうに思っています」と話した。
原子炉内から直接、大量の水が漏れているとすれば、高濃度の汚染水が潜んでいることも考えられ、工程表の見直しが避けられない状況となる。
一方、原発事故にともなう賠償問題でも、予定変更が余儀なくされた。
菅首相は「決して、これは東京電力の救済ではない」、「さらなる若干の議論が必要だということで」と述べた。
東京電力による賠償金を支援する枠組みについて、政府は12日に予定していた正式決定を先送りした。
海江田経産相は「閣僚間では、一定の方向は出ていると思いますが、党のプロジェクトチームが、まだ意見が収束されていないと」と述べた。
民主党の作業チームでは、「東京電力の負担が重すぎる」などの異論が噴出した。
政府の先送りを受け、民主党はさっそく議論を再開した。
会場では、「きょうはコーヒー、サンドイッチ、飲み放題、食べ放題。朝まで十分用意していますから、存分にやりましょう、きょうはね」という呼びかけがあり、「朝まででも」と意気込んでいたが、結局、1時間余りの議論で一転、政府案の賠償枠組みを大筋了承した。
これを受けて、政府は13日、正式決定する見通し。
賠償問題、そして事故収束に向けた工程表、そのロードマップは依然、不透明となっている。
(05/12 23:51)
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2011/05/12
メルトダウンが、原子炉の炉心の形状を維持しないまま、していなくて、圧力容器の下に崩れ落ちているという定義でございますと、それで結構でございます。
福島第1原発事故 東京電力、1号機のメルトダウンを認める 圧力容器から水漏れも