東日本大震災は海側と陸側のプレート(岩板)境界の震源域で、浅い部分と深い部分を往復するように4回に分かれて破壊が進んだとする解析結果を、東大大学院理学系研究科の井出哲准教授(地震学)がまとめた。19日付の米科学誌サイエンスの電子版に発表した。
大津波と、大きな揺れを引き起こす性質の破壊に分かれ、震源域の浅い部分では蓄積されたひずみを解放する以上の破壊が進む「ダイナミックオーバーシュート」(動的過剰滑り)と呼ばれる現象も発生、巨大津波を起こしたとみられることも分かった。
井出准教授は「浅い部分と深い部分で性質の違う破壊が起きる奇妙なメカニズムだ。プレート境界の地震の発生パターンを予測する上で貴重なデータ」としている。
米スタンフォード大と共同で、世界各地の地震計でとらえた地震波を基に解析。それによると、破壊のプロセスは(1)地震発生から3秒は緩やかな初期破壊(2)その後40秒かけ、深部に向かい破壊(3)さらに60秒後にかけ、浅い海溝部分が大きく壊れダイナミックオーバーシュートが発生。巨大津波を引き起こす(4)その後90秒後にかけ再び深部に向け破壊進行―としている。
このうち、陸地に大きな揺れをもたらした高周波の地震波を伴ったのは、深部で進んだ2回だけという。初期破壊が始まった深さは約25キロ、破壊の最も深い部分は約40キロとみられる。
プレート境界の地震は通常、陸側のプレートが海側に乗り上げる逆断層型だが、大震災直後には陸側がずれ落ちるような正断層型のマグニチュード(M)6以上の余震が2回発生。井出准教授は「滑りすぎたプレート境界が元に戻ろうとしたためではないか。滑りがいかに大きかったかを示す」としている。
2011/05/20 03:02 【共同通信】
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2011/05/20
「浅い部分と深い部分で性質の違う破壊が起きる奇妙なメカニズムだ。プレート境界の地震の発生パターンを予測する上で貴重なデータ」
大地震の震源域で4回の破壊 「過剰滑り」で大津波か