1~3号機のデータからは、津波による電源喪失の前に地震の揺れで配管が破断し、冷却水が失われたような兆候はみられなかったとしている。
緊急時の冷却、10分で停止 東電が事故時のデータ
東京電力は16日、福島第1原発1号機に残っていた東日本大震災発生直後の計器のデータから、緊急時の冷却が10分で止まっていたことが分かったと発表した。炉心に燃料があった1~3号機のデータからは、津波による電源喪失の前に地震の揺れで配管が破断し、冷却水が失われたような兆候はみられなかったとしている。
東電によると、1号機では本震発生直後の3月11日午後2時52分ごろ、緊急時の炉心の冷却に用いる非常用復水器がいったん起動したが、10分後の午後3時ごろには停止。非常用復水器は、急速な圧力の低下を避けるために運転員が手順書に従って手動で停止させた可能性もあるが、事実関係は調査中としている。その後、同3時半ごろ津波の第1波が到達した。
1号機では地震が発生して間もない3月11日夜に原子炉建屋内が高い放射線量になっていたことが分かり、電源喪失による損傷以前に原子炉圧力容器などの原子炉の重要な設備が損傷していたのではないかという疑いが浮上している。
16日の公開資料には、計器類で自動的に記録された原子炉の水位や圧力、温度、地震観測記録などのデータが含まれ、作業員の日誌や証言を基に整理した原子炉への注水状況や、放射性物質を含む蒸気を意図的に外部に放出する「ベント」、安全弁の操作などの実施の状況も公表された。
資料の多くは、原子炉各号機の中央制御室のハードディスクや紙に記録されていた。室内の放射線量が高く、資料も放射性物質に汚染されていたことから、回収が後回しになっていた。
2011/05/16 23:22 【共同通信】