中部電は、停止中の火力発電所の再開を含めた代替発電を検討しているが、そのためには発電燃料のLNG(液化天然ガス)が大量に必要になる。
浜岡原発停止持ち越し…中部電、需給さらに検討
中部電力は7日、臨時取締役会を開き、菅首相から浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転停止を要請されたことについて、対応を協議した。
浜岡原発を全面停止した場合、管内の電力供給に支障が生じる懸念があることや、住民や企業、株主などの関係者に多大な影響を与えることから、結論を持ち越した。週明け以降に改めて取締役会で議論する方針だ。
結論は出なかったものの、社内には「首相の要請に法的根拠はないが、断るのは困難」との見方が強い。原発が停止しても電力を安定的に供給できる道筋をつけた上で、要請を受け入れる方向だ。浜岡原発が全面停止すれば、中部電は2011年度の電力供給力の12%にあたる約360万キロ・ワットを失う。今夏に想定される最大電力需要(2560万キロ・ワット)に対し、供給力は2637万キロ・ワットに落ち込み、余力はほとんどなくなる。万一、昨年を上回る猛暑になって冷房需要が増加すれば、電力が不足して「計画停電などの対策を考えなければいけない」(幹部)事態に陥る恐れがある。
菅首相は6日の記者会見で、安定的な電力供給に向けて「政府として対策を講じる」との考えを示したが、具体策は不透明だ。夏場の電力供給にめどが立たず、政府の支援内容も確認できないまま、拙速に全面停止を受け入れられないという事情があったようだ。
中部電は、停止中の火力発電所の再開を含めた代替発電を検討しているが、そのためには発電燃料のLNG(液化天然ガス)が大量に必要になる。
(2011年5月8日01時41分 読売新聞)