4月21日(ブルームバーグ):英国史上最も大量に放射性物質をまき散らしたイングランド北西部のセラフィールド核施設。その付近で採れた魚や伊勢エビを食べた人の被ばく量を見る限り、福島第一原子力発電所から海に流出した放射性物質が長期的な人体への脅威になるとは考えにくいと、科学者が指摘した。
セラフィールド核施設が1952年以降アイルランド海に放出した放射性物質は、福島原発の今月の放出量の少なくとも32万倍。ブルームバーグがセラフィールドと福島からのデータを基に算出した。それでも、セラフィールド付近の魚介類を摂取した人の過去15年の平均積算被ばく線量は、安全とされる上限の半分だった。
セラフィールドに関するこのデータは、日本からの魚介類の輸入禁止は必要でないことを示唆していると、マンチェスター大学ダルトン核研究所のリチャード・ウェークフォード疫学教授は指摘する。欧米諸国などは日本からの輸入を制限。ホテル業界では高級チェーンのシャングリラ・アジアなどが放射能汚染を懸念し、日本産の魚介類の使用を停止した。
ウェークフィールド教授は電話インタビューで、福島原発からの放射能漏れは健康に対する「長期的な問題ではない。セラフィールドの例がそれを示している。これほど極端な反応をする必要は全くないと思う。禁輸は既に弱っている人をさらに痛めつけるような行為だ」と語った。
英環境庁や業界専門誌のデータに基づく計算によると、セラフィールド核施設は1952-2009年に計4万7855テラベクレル余りのセシウム137とストロンチウム90を放出した。
更新日時: 2011/04/21 15:42 JST
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2011/04/21
英環境庁や業界専門誌のデータに基づく計算によると、セラフィールド核施設は1952-2009年に計4万7855テラベクレル余りのセシウム137とストロンチウム90を放出した。
福島原発の海洋汚染は長期的脅威にならず、英国の例が示す-科学者