「ヨウ素131と134の生成比率は決まっており、2ケタも多いはずがない。よく考えれば気付くはずだ」
「核種」で原子炉の状況分析=東電誤発表「初歩的ミス」-専門家
ヨウ素134、コバルト56、セシウム134…。福島第1原発2号機のタービン建屋地下で見つかった水たまりの分析結果には、なじみのない名前が並ぶ中、東京電力の発表も二転三転。混乱に拍車を掛けた。これらは原子核の種類を示す「核種」で、検出された放射性核種の種類や量が分かると炉や核燃料の状況が分析できるという。
宮崎慶次大阪大名誉教授(原子力工学)によると、ヨウ素131やセシウム134などは原子炉の運転中にできる核分裂生成物。通常の運転でもわずかに冷却水中に漏れることもあるが、今回は大量。宮崎さんは「核燃料に相当大規模な損傷があるか、一部が溶けている状態だ」と説明する。
27日の東電の当初の発表で注目されたのは、ヨウ素134。同131と同様の核分裂生成物だが、半減期が約53分と短い。原子炉内で連鎖的に核分裂反応が起きる臨界状態は地震直後に止まっているはずで、「再臨界したのではないか」との臆測を呼んだ。しかし、その後同社はセシウム134と取り違えていたと訂正。宮崎さんは「ヨウ素131と134の生成比率は決まっており、2ケタも多いはずがない。よく考えれば気付くはずだ」と東電側の初歩的なミスを指摘した。
このほか、ランタン140やテクネシウム99mなども検出されたが、これらはウラン燃料を焼き固めた「ペレット」が正常なら外に出てくる可能性は少なく、ペレットの一部が溶融するなど深刻な破損を示しているという。(2011/03/29-06:00)
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011032900047