2011年3月24日20時45分
九州電力は24日、定期検査で運転を停止している玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を延期すると決めた。東京電力の福島第一原発の事故を踏まえ、運転再開には地元の理解を得にくいと判断した。夏まで続けば、電力需要をまかないきれない可能性があるという。
真部利応社長が記者会見して発表した。2号機、3号機の順で来週から運転再開する方針だったが、転換した。「福島の事故が想定よりも長引き、支店に不安の声が届けられていた」といい、再開時期は「決まっていない。安全対策など国の新たな方針が出てから検討したい」とした。
原発の運転が停止し続ける間は、火力発電所をフル稼働して需要をまかなうが、5月上旬には川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1号機も定期検査に入る。運転の見合わせが続けば、九電の電力の4割をまかなう原発計6基のうち半数が止まることになる。
原発3基の発電能力は262万キロワット。夏のピーク時の電力供給の約15%分に当たる。停止中の火力発電の5基計202万キロワット分ではカバーしきれない。真部社長は「供給はおそらく足りなくなる。長引けば計画停電の可能性も否定できない」と説明。「現時点では生活に支障がない程度に節電をお願いしたい」と話した。(大畑滋生)