イラン当局は23日、インターネットを利用した反政府活動やウイルス攻撃への監視を強化するため「サイバー警察」を発足
イラン:サイバー警察発足 「反政府」ネットで拡大、警戒?
【テヘラン鵜塚健】イラン当局は23日、インターネットを利用した反政府活動やウイルス攻撃への監視を強化するため「サイバー警察」を発足させた。イランでは、09年6月の大統領選での不正開票疑惑を機にネット上の呼びかけを通じて政権批判が活発化した。またチュニジアで最近、反政府デモの動きがネットで拡大し政権転覆につながっており、「ネット」への警戒感を強めているようだ。
陣容や活動の詳細は不明だが、革命防衛隊系のファルス通信によると、モガダム警察庁長官は「情報技術を使ったスパイ活動や破壊活動を防ぐことができる」と語った。
イランは先の大統領選以降、ネットへの規制と監視を大幅に強化した。民主化を訴えるニュースサイトやブログ、主要な動画サイトや欧米メディアの閲覧は一切禁止。これらにアクセスすると、政府推奨サイトを紹介するページに自動的に導かれる仕組みだ。ブログで政府批判をしたとして逮捕者も相次いだ。
チュニジアでは交流サイト「フェースブック」や簡易ブログ「ツイッター」を通じた情報交換により反政府デモが拡大した。イランでは特殊なソフトで当局の規制を解除し、利用する市民も多い。アフマディネジャド大統領は「チュニジア国民はイスラム教による支配を求めた」と政変を支持したが、イランへの連鎖を恐れているのが実情だ。
当局はコンピューターウイルス流入も警戒。昨夏以降、国内の核施設のシステムがウイルス「スタックスネット」に感染、核開発に影響を与えたとされる。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国とイスラエルがウイルス開発に関与した可能性がある。
毎日新聞 2011年1月25日 東京朝刊