同時テロ後の情報共有裏目=現場で容易に機密アクセス-ウィキリークス公電流出
【ワシントン時事】内部告発サイト「ウィキリークス」に米外交公電25万点が流出した問題で、ギブズ米大統領報道官は29日、「深刻な犯罪だ」と述べた。司法省は流出経路の本格的な捜査に着手。流出源として浮上しているのが、首都ワシントンからはるかかなたのイラク駐留米軍基地のコンピューター端末だ。同時テロを教訓に、省庁間の情報共有化を進めたことが裏目に出たとの指摘もある。
情報を漏らしたとみられているのは、バグダッド郊外の基地に勤務していた20代前半の陸軍情報担当の上等兵だ。上等兵は7月に国務省の公電15万点以上を不正入手した罪で訴追された。米メディアによると、上等兵は5月に逮捕される前、入手した情報をウィキリークスに提供したと元ハッカーにほのめかしていた。
上等兵は周囲に怪しまれないよう、職場に持ち込んだ人気女性歌手レディー・ガガのアルバムに見せかけたCDに公電をダウンロードしていた。捜査当局は上等兵が不正入手した公電が、今回流出した25万点の公電に含まれているか明らかにしていない。
国防総省は8月から保全対策として、機密を扱う端末からUSBメモリーやCDにダウンロードできなくするとともに、機密文書へのアクセス状況を監視するなどの対策を取った。
同省のホイットマン報道官は「同時テロ後、政府内の情報共有のギャップを埋めるために、外交・軍事の専門家が多くの情報により迅速に、より容易にアクセスできるようになった。しかし、それは機密情報(保全)を脆弱(ぜいじゃく)にする予期せぬ結果を招いた」とコメントした。
(2010/11/30-18:39)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010113000806