緊迫の黄海境界線「NLL」とは…
北方限界線(NLL=Northern Limit Line)は、黄海における韓国と北朝鮮の境界線。
23日に北朝鮮の砲撃を受けた延坪島(ヨンピョンド)はNLLの南側にある。北朝鮮はこの境界線を認めていない。
朝鮮戦争の休戦協定(1953年7月)では海上の境界線が定められなかったため、翌月に米軍主導の国連軍が独自にNLLを設定した。
北朝鮮はこれに反発し、70年代半ば以降船舶によるNLL越境を繰り返してきた。99年9月には、NLL設定は「他人の家の庭にひそかに線を引く白昼強盗のような行為」だったと非難したうえ、NLLの南方に「海上軍事境界線」を独自に設定。その北側を「領海」であると宣言した。
北朝鮮がNLLに強く反発するのは、外貨獲得源であるワタリガニの漁場が付近にあることや、米国を境界線再設定のための平和協定交渉に引き出す思惑のためと指摘されている。
NLLと海上軍事境界線に挟まれた海域では、99年6月以降、北朝鮮軍と韓国軍の艦艇がたびたび交戦し、今年3月には韓国海軍哨戒艦が北朝鮮の魚雷攻撃で沈没、乗員46人が死亡する事件が起きた。(蒔)
(2010年11月27日10時14分 読売新聞)