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2011/12/13

10mSvを超えたのは、いずれも計画的避難区域の飯舘村と浪江町の3例で、避難指示の遅れで高くなった可能性がある

一般住民最高は14.5ミリ=6割が1ミリシーベルト未満-外部被ばく、先行調査
 福島県や県立医科大学などは13日、東京電力福島第1原発事故を受けて実施している全県民対象の健康管理調査で、先行調査地区1727人の約6割について、震災以降4カ月間の外部被ばく量の推計が1ミリシーベルト未満だったと発表した。放射線業務に従事していない一般住民の最高は14.5ミリシーベルトだった。

 先行調査を実施した浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区の住民1727人のうち138人は放射線業務の経験者。住民の9割以上が5ミリシーベルト未満で、最高は放射線業務の経験者1人の37.4ミリシーベルトだった。3月12日から7月11日までの4カ月間の外部被ばく量の推計を、住民の行動記録や「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)などから作成した線量率マップを基に算出した。(2011/12/13-13:47)
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011121300420




福島県 県民健康管理調査検討委員会 

外部被ばく線量の推計について PDF
 外部被ばく線量評価システムの概要と避難行動のモデルパターン別の外部被ばく線量の試算結果
 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/231213senryosuikei.pdf






避難住民被曝、最大19ミリシーベルト 福島県試算
2011/12/13 11:22
 東京電力福島第1原子力発電所事故を受け、全県民約200万人の健康管理調査を進めている福島県は13日、事故発生から4カ月間に同原発周辺12市町村から避難した住民について、避難行動のモデルケースごとの外部被曝(ひばく)線量の試算を公表した。最大は、飯舘村の空間放射線量が高い地区から6月下旬に避難した想定の19ミリシーベルト。10ミリシーベルトを超えたのは、いずれも計画的避難区域の同村と浪江町の3例で、避難指示の遅れで高くなった可能性がある。

 外部被曝線量の試算は、避難指示の時期や避難所の設置場所などから想定できる18の避難状況ごとに行った。発送した問診票に回答した住民に今後通知する個人の外部被曝線量(推計値)の目安としてもらう狙い。

 飯舘村や浪江町の一部など計画的避難区域からの避難は6例を想定。飯舘村から6月21日に福島市に避難した場合の被曝線量は6.2~19ミリシーベルト、浪江町から3月23日に二本松市に避難した例では4.8~13ミリシーベルトだった。

 富岡町や大熊町、南相馬市の一部など同原発20キロ圏内から避難した12例では、浪江町から3月16日に二本松市に避難した例が最大で、2~2.3ミリシーベルト。南相馬市から3月15日に伊達市、3月31日に福島市に避難した例は1.5ミリシーベルトとなった。

 県は、12市町村のうち、浪江町、川俣町山木屋地区、飯舘村の住民計約2万9千人を対象に実施した先行調査で、データがまとまった1727人について、事故後4カ月間の個人の外部被曝線量の推計値も公表した。

 同原発作業員ら放射線業務従事者を除く一般住民1589人の中で、被曝線量が最高だったのは飯舘村の男性で、14.5ミリシーベルト。一般住民の37.2%は平常時の年間被曝限度である1ミリシーベルトを超えていた。原発作業員らの最高は37ミリシーベルトだったことが判明している。

 県は「これまでの疫学調査で100ミリシーベルト以下での健康影響は確認されていない。一般住民の推計値が最高15ミリシーベルト未満であるうえ、避難例の試算もいずれも20ミリシーベルト未満だったことから、放射線による健康影響は考えにくい」としている。






飯舘村4ヵ月滞在 積算被ばく、最高で19ミリシーベルト
 福島第1原発事故の発生後、福島県飯舘村の高線量地域に6月21日までとどまった後に避難した場合、4カ月間の積算線量が19ミリシーベルトに達するとの試算を独立行政法人放射線医学総合研究所(千葉市)がまとめ、13日に福島市で発表した。
 同研究所緊急時線量評価チームの赤羽恵一チームリーダーが、県と県立医大が進める県民健康管理調査の線量評価の一環として明らかにした。
 試算は、原発20キロ圏の警戒区域とその北西の計画的避難区域がある計12市町村を対象に、18の住民の避難パターンを設定。震災当日の3月11日から6月21日まで飯舘村の最も線量が高い場所に滞在し、21日に福島市へ避難、7月11日まで過ごした場合は4カ月間で19ミリシーベルトとなった。
 同じ飯舘村でも、避難するまでの滞在地点を村役場周辺と仮定した場合、累積線量は6.2ミリシーベルトとなった。計画的避難区域に指定された飯舘村では、5月半ばから集団避難が始まり、同月末までに大半の人が村外に出たとされる。
 福島県の「県民健康管理調査」検討委員会座長を務める山下俊一福島県立医大副学長は「20ミリシーベルトを超えても影響は小さいが、しっかり健康管理しなければならない。情報提供や避難判断はもっと早く行うべきだった。検証が必要だ」と話した。
 計算には、原子力安全・保安院と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算、文科省の観測結果を用い、対象地域を2キロ四方の領域に区切って平均を求めた。
 いずれの試算も、屋外活動時間の長さや建物の材質次第で違う結果になる。県や放医研は試算結果を公開し、より個人の実情に即した結果の得られる県民健康管理調査への協力を呼び掛ける。


2011年12月14日水曜日



 ◇子供全員検査は対象の6割受診
 また、18歳以下(4月1日時点)の子供約36万人全員を対象とする甲状腺検査の先行実施分は9日現在、対象者1万9459人の約6割の1万1534人が受診した。検査を担当する福島県立医大の鈴木真一教授は「しこりが見つかり、2次検査が必要な人は極めて少ない」と述べた。

 チェルノブイリ原発事故では子供の甲状腺がんは4~5年後から増えており、1回目の検査は元々しこりがあるか調べ、2回目以降に向けたデータとするのが目的という。【佐々木洋、乾達、吉川雄策】

毎日新聞 2011年12月13日 東京夕刊




避難時期で線量左右 県の4カ月試算で国に住民怒り
 県は13日、東京電力福島第一原発事故後4カ月間の県民の外部被ばく線量試算を発表した。避難時期で線量を左右する結果となり、警戒区域よりも高い数値が示された計画的避難区域の住民からは国の避難区域設定に不満や不安の声が噴出した。最高値が19ミリシーベルトの飯舘村の住民は「国はもっと早く避難指示を出してほしかった」と憤る。区域内で今も操業している企業の関係者は国の対策を求めた。

 「国はどうしてもっと早く避難指示を出さなかったのか」。飯舘村から福島市の借り上げ住宅に高校生の子どもを連れて避難している会社員の女性(37)は、県が示した外部被ばくの値の高さにいら立ちを隠さない。

 村は4月22日に計画的避難区域に設定された。空間放射線量が高い数値で推移し、不安を抱えていた。国や専門家の「直ちに健康に影響はない」との言葉を信じ、避難指示が出て避難先が見つかる6月上旬まで村にとどまった。「避難指示が早ければ、被ばく量は減らせたはず」と国への不信を募らせる。

 福島市松川町の仮設住宅で避難生活を送る農業佐藤明康さん(70)は村内でも線量が高い同村長泥に住んでいた。福島市飯坂町の旅館に避難する6月30日まで滞在した。「過ぎてしまったことはしょうがないが、国は最後まで責任を持って除染してほしい」と語気を強めた。

 浪江町南津島字下冷田に住んでいた畜産業三瓶富雄さん(60)は、3月下旬、本宮市の親戚宅に避難した。自宅は屋内退避区域に設定され、立ち入りが制限されることはなかったため、肉牛の世話で毎日通った。しかし負担が大きく、5月中旬に自宅に戻り肉牛の引受先が決まる6月中旬まで過ごした。「もっと情報があれば自宅に戻って住むことはなかったが…。内部被ばくも心配だ」と不安な表情を見せた。

 川俣町山木屋地区の山木屋小・中PTA会長の広野義孝さん(44)も、「4カ月で3ミリシーベルトという数値は高い」と感じている。「子どもの健康に影響が出ないか不安が残る。健康調査を徹底してほしい」と訴えた。

 一方、避難先の三春町の仮設住宅内の仮店舗で食堂を営む葛尾村の石井一夫さん(55)は、県の試算結果を見て安堵(あんど)した。村独自の避難指示で3月14日に古里を離れた。自宅のある村中心部が計画的避難区域に設定されたのは約1カ月後となった。「逃げて良かった」

 計画的避難区域の中には、操業を続けている事業所もある。飯舘村の山田電子工業の山田義忠社長(63)は「県の試算は想定内」とした上で、「現在は従業員の被ばく量を管理しており、操業には問題ないと考えている。国も目に見える形で徹底した除染を展開してほしい」と求めた。

【写真】飯舘村の広報紙で村内の放射線量を確認する村民=13日、福島市の仮設住宅


(2011/12/14 09:38)