経営破綻した安愚楽牧場(栃木県)が北海道天塩町で直営していた「天塩牧場」が、稚内市の牧場に売却されたことが分かった。従業員約20人の雇用は継続するが、近隣農家との預託契約は「牧場の受け入れ限度を超えている」としており継続は難しい状況だ。
道内に8カ所ある安愚楽の直営牧場のうち、売却が明らかになったのは初めて。
購入したのは、栃木県の「ジェイイーティーファーム」の関連会社で稚内市にある「宗谷岬牧場」(阿部忠男社長)。天塩牧場所有の牛3000頭や土地などを引き継ぐが、購入金額は公表していない。
関係者によると、天塩牧場では近隣農家十数戸と預託契約を結び、母牛を飼育させていた。阿部社長は「天塩町などからの要請もあり購入を決めた。預託契約については現段階で白紙だが、農家からの要請があれば話し合いたい」と話している。【横田信行】
毎日新聞 2011年11月20日 北海道朝刊
安愚楽牧場が直営の「天塩牧場」を譲渡記事を印刷する
和牛オーナー制度が行き詰まり、破産手続きに移行予定の畜産会社「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県)が、直営の「天塩牧場」(北海道天塩町)を、北海道稚内市の農業生産法人「宗谷岬牧場」に事業譲渡したことが20日、分かった。譲渡契約は16日付。
保全管理人の弁護士は、早期に直営牧場などの保有資産を売却する方針を示していた。
宗谷岬牧場の阿部忠男社長は「天塩牧場は地理的に近く、事業拡大のために契約した」と話している。
天塩牧場は約3千頭の育成牛を肥育していた。従業員22人は継続雇用するという。(共同)
[2011年11月20日16時20分]