ページ

2011/04/01

東電を政府管理に置く可能性について「否定された選択肢の中には入っていない」=枝野官房長官

枝野官房長官:東電の政府管理案 検討認める
2011年4月1日 13時3分 更新:4月1日 20時14分

 枝野幸男官房長官は1日午前の記者会見で、福島第1原発事故を起こした東京電力に公的資金を出資して政府管理下に置く方針を政府が固めたとの毎日新聞報道に関し、「否定された選択肢の中には入っていない」と述べ、検討していることを認めた。枝野氏は「さまざまな可能性を検討しているが、政治的に方向性を決めるのは、状況の落ち着き方を見て進める」と語り、事故の収束状況をにらみながら結論を出す考えを示した。【影山哲也】





また枝野官房長官はこの日、東電に国の資金を投入する可能性に言及した。事故収束や電力供給責任を果たす上で政府支援が必要で出資を含めて具体策を詰めている。出資について、可能性があると言えば有力であるような報道がされると断りながら「否定された選択肢の中には入っていないというのが正確な言い方かもしれない」と述べた。

その上で、事態収拾や計画停電で東電を政府として支える必要があり、具体的な方法について「関係部局において可能性について検討はしている」と語った。

株価急落、社債スプレッドも拡大

この日の東電株は一時前日比67円(14%)安の399円まで下落した。1952年1月以来ほぼ60年ぶりの安値に下がったことになる。いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、政府出資などをめぐり市場が「疑心暗鬼の状態となっている」と述べた。この日はJ-POWERを含む電力11社の株価はすべて下がった。

東電を含む日本の電力会社の在り方については菅直人首相もフランスのサルコジ大統領との共同会見で3月31日、東電事故の収束後に「存続の可能性も含めてどういった形になるのか、その時点での議論が必要になろうとこう思っている」と述べていた。原発についてサルコジ大統領は「これからも続けたいと思っているが、日本の検証をしフランスの原発すべてを検証していくことが必要だ」と述べている。

格付け会社ムーディーズ・ジャパンは3月31日、東電の長期発行体格付けを「Baa1」と従来の「A1」から引き下げた。引き下げ方向での見直しを継続するとしている。株価が急落している東電は社債スプレッドも急上昇している。




毎日新聞 2011年4月1日 2時33分(最終更新 4月1日 17時56分)

東京電力:政府管理へ 公的資金を投入
 政府は31日、東日本大震災に伴い福島第1原発で深刻な放射性物質の漏えい事故を起こした東京電力について、公的資金による出資を通じて政府管理下に置く方針を固めた。政府高官は同日「国が一定程度(経営に)関与するため出資する形になる」との見通しを示した。公的債務保証も検討する。長期化する福島原発事故の対応を徹底し、周辺住民らへの巨額の賠償訴訟に備えるとともに、日本経済や国民生活に不可欠な電力供給の安定を図るには、東電の政府管理が不可欠と判断した。

 福島第1原発は、大震災と大津波で原子炉の炉心冷却機能が停止。炉心が溶融するなど米スリーマイル島での原発事故をしのぐ、深刻な放射性物質の漏えい事故となった。事態収拾に向けた冷却機能の復旧作業は難航しており「(原子炉が)最終的に安定するにはかなりの時間がかかる」(東電の勝俣恒久会長)見通しだ。

 東電は31日、事故対応と電力供給事業の継続に必要な資金を賄うため、メガバンク3行などから約1兆9000億円の緊急融資を受けた。しかし、炉心の冷却機能復旧にこぎ着けたとしても、同原発1~4号機の廃炉に向けた費用や、損害賠償などに巨額の負担を迫られるのは確実。特に避難を強いられた原発周辺の多数の住民や農漁業者らへの損害賠償は数兆円単位に上ると見込まれ、東電独力では負担しきれない可能性が高い。

 原発事故に適用される原子力損害賠償法には「異常に巨大な天災や社会的動乱」時に電力業者の賠償責任を免責する規定もあるが、政府高官は31日「免責はあり得ない。国民感情が許さない」と適用を否定。国が支援する場合にも、東電に相当程度の負担を求める考えを明らかにした。

 一方、出資規模について、同政府高官は「(出資比率が)半分を超えたら国有化になる。その規模ではやらない」と完全国有化することには否定的な姿勢を示した。

 東電に対する今後の対応に関連し、菅直人首相は31日、サルコジ仏大統領との共同記者会見で「事故が収束した中で、今後の電力会社のあり方も、存続の可能性も含めて議論が必要になる」と述べた。【山本明彦、宮城征彦、青木純】