リスク情報の説明不足、問題視 文科省が震災対応検証
文部科学省は、東日本大震災への対応を自己検証した中間報告を公表した。校庭を利用する際の放射線量の基準を「年間20ミリシーベルト」とした際の説明不足や、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)のデータ公開の遅れを問題視。「政府機関、専門家、国民との間でリスクに関する情報や意見を適切に相互交換するというリスクコミュニケーションにおいて課題を残した」と総括した。
緊急時の対応に焦点を当てた第1次報告という位置付け。原子力災害と地震・津波災害の二つの対策本部が省内の別のフロアに置かれ、連絡がうまくいかなかったことなど、計106の課題を列挙した。
4月19日に示した校舎・校庭利用の基準は、保護者らから強い批判を受けた。利用する際の基準だったのに、子どもが被曝(ひばく)しても問題がない限度として「年間20ミリシーベルトを新たに定めたとの誤解を招いた」と振り返り、「正確かつ丁寧な説明に努めることが必要」とした。SPEEDIについては、仮定の数値に基づく試算であっても、当初からデータを公表することが必要と指摘。リスクコミュニケーションの改善を図ると記した。