2011年4月5日
原子力安全委員会は5日、放射線量の高い地域の住民の年間被曝(ひばく)限度量について、現在の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げるべきか検討を始めた。放射線の放出が長引き、「長く生活する観点で考えないといけない」とし、現実路線への見直しを検討する。
原子力安全委員会は5日、放射線量の高い地域の住民の年間被曝(ひばく)限度量について、現在の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げるべきか検討を始めた。放射線の放出が長引き、「長く生活する観点で考えないといけない」とし、現実路線への見直しを検討する。
茨城県北茨城市の平潟漁協は4日、市の沖で採ったイカナゴ(コウナゴ)から1キロあたり4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。食品衛生法では、魚や肉には、放射性ヨウ素の暫定基準を定めておらず、厚生労働省は基準づくりを検討する方針。
このコウナゴからは放射性ヨウ素のほか、同セシウムが暫定基準の500ベクレルに近い447ベクレルを検出した。
同漁協は漁の再開にあたり、1日までにコウナゴなど5種類を試験的に採取。厚労省はうちコウナゴについては野菜類(根菜、芋類を除く)の2千ベクレルと比べて高いことなどから食べないよう助言した。県によると、県沖ではコウナゴ漁をしておらず、市場に出回ることはないとしている。
厚労省の大塚耕平・副大臣は4日の会見で「想定しがたい検査結果だ。速やかに対応したい」と述べた。
■半減期は短いが徹底した監視必要
〈海洋生物環境研究所の日下部正志・研究参与の話〉ヨウ素の半減期は8日間と短いが、常に放射能に汚染された海中にいれば、体内で一定の濃度を保つことになる。魚は新鮮なものを食べることが多いので徹底した監視が必要だ。
自民党の野中広務元幹事長が同党京都府連に離党届を提出していたことが5日、分かった。野中氏は産経新聞の取材に対し、3月29日に全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会長に3選されたことを挙げたうえで、「今後、政府と交渉していく上で、自民党幹部を経験した私が政党人のままでは団体のためにならない」と離党理由を述べた。
芸能界やスポーツ界でも、被災地に向けた支援の輪が広がっている。普段から何かと“お騒がせ”のタレント神田うのも、その一人。彼女は、日本赤十字社に義援金1千万円を寄付したことを自身のオフィシャルブログで明らかにしたのだが、これが思わぬところで波紋を呼んでいる。
4月5日(ブルームバーグ):全国銀行協会の奥正之会長(三井住友フィナンシャルグループ会長)は5日、東日本大震災で原子力発電所が深刻な被害を受けている東京電力について、政府は原子力損害賠償制度に基づく支援姿勢を早期に明確にするべきだとの見解を示した。その上で「国が健全な事業体として保つ限り支援する」と言及した。
松本龍環境相は5日の記者会見で、国会に提出している地球温暖化対策基本法案に盛り込んだ温室効果ガス排出量の25%削減目標について「柔軟な対応も考えられる」と述べ、国会論戦を通じて法案修正もあり得るとの考えを示した。政府が掲げる25%削減目標は、原発の増設や稼働率の向上を前提にしている。福島第一原発の事故で、こうした前提の見通しが立たなくなっており、南川秀樹環境事務次官が削減目標の見直しを示唆する発言をしていた。
会見で松本環境相は「温暖化対策に積極的に取り組んでいく方針に変わりはない」としながらも、「原発の稼働や建設、経済成長の見込みなどを含めて関連情報の収集や把握に努めていきたい」とし、エネルギー供給を見通した上で、目標を議論する姿勢を見せた。
4月4日(ブルームバーグ):国際原子力機関(IAEA)のデニス・フローリー事務次長は4日、福島第一原子力発電所の原子炉で燃料棒が部分溶融したのは、「ごく初動の段階からの」ミスの結果だとの認識を示した。
フローリー氏はウィーンでの記者説明会で、「このような事故は起きてはならなかった」とした上で、「初動から何か落ち度があった」と指摘した。
同氏は、プラント内の計測機器は恐らく損傷しており、「入手できない多くの情報」が存在すると付け加えた。
更新日時: 2011/04/05 06:33 JST
【ウィーン樋口直樹】原発の安全性の確保・向上を目指す「原子力安全条約」(72締約国・機構)の検討会合が4日、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で開幕した。東京電力福島第1原発事故の行方に国際社会の強い関心が集まる中、天野之弥IAEA事務局長は冒頭、「極めて深刻な状況が続いている」との見方を示した。「原子力への信頼の回復と維持には、安全基準の厳守と完全な透明性が欠かせない」とも指摘。情報の秘匿などは許されないとクギを刺した。
枝野幸男官房長官は4日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所事故を受け、2020年までに温室効果ガスを25%削減する政府目標を見直す可能性について「地球温暖化対策にとどまらず、わが国が抱えるあらゆる課題について震災の影響を踏まえて検討しなくてはいけない」と述べ、再検討が不可欠との認識を示した。
原発推進が困難になるため、当面火力発電所など温室効果ガスを排出する化石燃料に頼らざるを得ない状況を踏まえたとみられる。ただ、松本龍環境相は温室効果ガス削減の数値目標見直しを明確に否定しており、政府内で議論を呼びそうだ。
県は4日、福島県などから八戸市の畜産系廃棄物の処理工場に運び込まれた死亡牛を加工した肉骨粉から、微量の放射線が検出されたと発表した。測定された放射線量は最大で毎時0.16マイクロシーベルトで、県は「周辺住民に影響を与えるものではない」としている。
東京電力は4日午後、福島第1原発から放射性物質を含む水約1万1500トンを海に放出すると発表、午後7時すぎに放水口付近で排出を始めた。数日間続く見込み。水に含まれる放射性物質の濃度は最大で、法律で環境中への放出が認められている濃度基準の500倍。
2号機のタービン建屋の地下などには、さらに高濃度の汚染水が大量にあり、この水を移送、保管する場所を確保するための異例の措置。
経済産業省原子力安全・保安院は「大きな危険を避けるためやむを得ないと判断した」としている。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は記者会見で「地域の皆様、関係者に誠に申し訳ない」と謝罪した。
約1万トンは、2号機の高濃度汚染水の移送先に予定している集中環境施設という廃棄物処理建屋にたまっている水。約1500トンは、原子炉が冷温停止している5、6号機の建屋付近にたまった汚染された地下水。安全確保に必要な施設が水没する恐れがあるとして海に放出することにした。
これらの水に含まれる放射性物質は1立方センチ当たり最大20ベクレル。東電は、汚染水放出の影響として、成人が近くの魚や海藻を毎日食べた場合、被ばく線量は年間約0・6ミリシーベルトで、自然界からの線量の4分の1と説明。原発事故時には「応急の措置を講じなければならない」としている原子炉等規制法に基づく措置としている。2号機の建屋の高濃度汚染水は1立方センチ当たり1千万ベクレル以上。
4日午前の段階では、集中環境施設にたまっている水は、現在は復旧作業に影響しない4号機のタービン建屋に移送する計画だった。だが千トンの水を移したところ、3号機の建屋付近の立て坑にたまった汚染水の水位が連動して高まり、あふれ出る恐れもあるため東電はこの計画を断念した。
2号機の取水口近くにある作業用の穴(ピット)からは、高濃度の汚染水が海に流れ出ていることが判明しており、東電は流出元とみられる2号機のタービン建屋や立て坑の汚染水の移送を急いでいる。
2011/04/05 00:41 【共同通信】